【ネロファウ】 それは、魔法舎に届いた一通の手紙から始まった。 正確には届いた手紙は二通あり、ひとつは依頼が書かれたもの、もうひとつは依頼の手紙で包むように同封されていた、少しくたびれた封筒に入った手紙だった。困った顔で突然部屋を訪れてきた賢者を渋々招き… 大きな窓から注ぐ太陽光が、誰も座っていない食堂のテーブルを淡く照らしていた。明確にはわからないが、朝食には少し遅く、昼食には少し早い時間だった。外からは何かの遊びに興じるこどもたちの声が聴こえている。 ネロはキッチンで手早くオムレツとサラ… 夕暮れはとうに過ぎ去った。灯りをともさないままの自室の窓は、厄災の月明かりも得ることなく、段々と黒を重ねていく。風もなく、雨も降らず、静かな夜を迎えていた。突然その静寂に三回、扉を叩く音がした。こんなに静かな夜なのに気配も感じず、足音さえ聞… 「早いな」そう言いながらウィスキーの瓶とグラスを携えたファウストが、俺の目の前に立った。既に夜空に星が瞬いている時間だが、庭に出る際、子どもたちが談話室でカードゲームに勤しんでいたのを見かけた。寝ることを促すにはまだ早い時間だった。「そうい… 「どっちでも好きな方を食えよ」 ネロがそう言って僕の前に差し出したプレートは二種類。ひとつは猫の顔の形をした人参が散りばめられた野菜炒めと、もうひとつは、やはり同じように猫の顔の形をしたビスケットだ。チョコやマシュマロが挟まれている。 どち… 「騎士様、今日はやけに笑顔だけどいい事あったの?」 キッチンに甘いものを求めて廊下を歩いていたら、やたらと機嫌が良さそうなカインとすれ違った。「そうか?オーエンから見てそう見えるならそうなんじゃないか!」「ハア?何なの?お前は機嫌が良いのを…
生きるための病
いつの日かの光について
やさしいきみへ
ゆらめく星光
140文字ちょっとのネロファウ
【オーカイ】
気がつかないで